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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年12月12日水曜日

【文献紹介】内側半月中後節移行部横断裂のMRI所見

 今回は膝関節内側半月板中後節移行部横断裂時のMRI所見において、特徴的な所見が無いかを検討されている文献を紹介させていただきます。



本山達男他:内側半月中後節移行部横断裂のMRI所見. 整形外科と災害外科.65(2).199-202.2016







MRI所見読影の基準として、冠状断はT2、矢状断はプロトン強調像にて撮像された画像で行われており、51例51膝の内側半月板中後節移行部横断裂と診断された症例の術前MRIにて検討されています。


 冠状断で最も多かった所見は、中後節移行部のスライスで正常半月板を描出した後、後方へスライスを移動させると、内側半月板の大部分で高信号が描出されていました。その後さらに後方へスライスを進めると、再度正常半月板が描出されるというもので、全体の62.7%で認められていました。(下図参照 文献より引用)




矢状断に関しては、内側半月板辺縁を描出しているスライスで横断裂様の高信号が全体の52.9%で認められていました。



内側半月板中後節移行部の損傷は、後角損傷についで損傷頻度の高いとされており、正確な画像診断が重要と諸家の報告でも見受けられますが、特徴的なサインなどは確立されていません。
 筆者は今回冠状断で大部分高信号を一時的に認めた部分をvanishing signと仮定し、同部位での画像診断の特定方法として考案されていました。



 しかし、本研究の及第点として、感度は高いが特異度は低いという点でした。特異度とは “陰性のものを正しく陰性と示す” 値であることはみなさん言うまでもないでしょう。

 つまり、MRIでは横断裂が認められたが、同部位の横断裂が関節鏡にて観察すると認められい可能性が大いに有り得るということです。



 我々理学療法士は関節鏡にて自ら関節内の状態を把握することは不可能です。そのため、画像所見を駆使し、患者様の状態を把握するスキルがとても重要になることは、日々の臨床での痛感しております。
 半月板に関しては有用な整形外科的テストも多数報告されており、諸家の報告では各検査の感度や特異度についても報告されています。


治療技術だけではなく、そこに至るまでの評価技術の一つとして、画像読影方法について知識を深めていく事の重要性を再認識することができました。



投稿者:高橋 蔵ノ助


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