本日紹介させていただく文献は、肩関節拘縮に対して保存療法の適応を検討された文献です。
君塚康一郎他:肩関節拘縮に対する保存療法の検討.肩関節30(3):515-518,2006
肩関節拘縮に対して保存療法の適応を明らかにすることを目的として、保存療法のみを行い、治療成績とそれに影響を及ぼす因子について検討しています。
可動域制限と疼痛を訴えて受診した患者のうち、MRIおよび肩関節造影にて腱板断裂がない、頸椎疾患がない、全身性疾患を有さず、肩関節拘縮と診断できた68例68肩としています。保存療法の方法は、関節造影時にjoint distension、ヒアルロン酸ナトリウム溶液の関節内注射、PTのよるリラクセーションと可動域訓練、cuff exercise、自主トレーニング指導、激しい肉体労働やスポーツを制限としています。
検討項目はrotational glide群とprelotational glide群の2群に分類、他動可動域score,疼痛scoreJOA score、年齢、性別、他動可動域、発症から初診までの期間、外傷の有無です。
さらに6ヶ月後にpostrotational glideまで改善した群を改善群、そうでなかった群を不良群とし比較しています。
結果はrotational glide群よりprerotational glide群は有意に外傷歴のある症例が多い結果となりました。また保存療法にてrotational glide群は全例6ヶ月以内にpostrotational glideまで改善しました。prerotational glide群の改善群が32肩、不良群が16肩であり、有意差を認めたのは発症から初診までの期間と外傷歴でした。
今回の肩関節拘縮の定義で評価するとrotational glide群は全例症状が改善しており、保存療法が有効であることがわかったと考察しています。
prerotational glide群は発症から初診までの期間が長い症例や外傷歴の無い症例が症状改善していたことから、保存療法が有効であるとわかったと述べています。これに対して筆者は発症から初診までの期間と外傷の有無との間に関係性はなく、期間が長い症例緩徐に拘縮が進行し、短い症例においては急速に進行したことを示していると述べています。
発症から初診までの期間が長い症例は癒着以外にも軟部組織の短縮や柔軟性の低下といった病態が混在しているため、保存療法にて良好な成績が出たのではないかと考えられました。一方発症から初診までの期間が短い症例に関しては強い炎症により癒着していることが成績不良の原因ではないかと思いました。拘縮肩症例においてリハビリ開始までの期間の聴取は大まかな病態把握に有用である感じました。
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2018年10月26日金曜日
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