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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年10月13日木曜日

【文献紹介】烏口上腕靭帯が肩関節内旋制限に関与するか

 今回、紹介する文献は烏口上腕靭帯が肩関節内旋制限に関与するかについてです。

 烏口上腕靭帯(以下CHL)は腱板疎部を形成する軟部組織としての役割を持ち、棘上筋と肩甲下筋の深層・浅層を挟み込むように覆い、肩甲骨と腱板・上腕骨の共同運動を制御する伸張性のある解剖学的組織であり、下垂位外旋の主要な制限因子です。

 日常生活において結帯などの内旋動作が多く、内旋制限の原因となる病態を把握し、適切なアプローチが治療成績に関わることから、筆者らは内旋制限を主訴とする症例に対して、局所麻酔下に非観血的関節授動術を行い、断裂する解剖学的組織をMRIで同定し、内旋授動術の効果を調査しました。

 対象は病態の明らかなものを除外した凍結肩の中で①屈曲、下垂外旋の左右差は20°以下。②内旋の左右差は3椎体以上。③水平内転、外転内旋、屈曲内旋の左右差は20°以上の3条件を満たす23症例、平均年齢61.5歳であり、検討された可動域は屈曲、下垂外旋、結帯、水平内転、外転内旋、屈曲内旋です。また内旋授動術後の1週間以内にMRIにて斜位矢上像を撮像し、術前後で変化の確認できた解剖学的組織を確認しています。

 結果は結帯、水平内転、外転内旋、屈曲内旋で有意差が認められ、特に内旋授動術後のMRIでは、23例中20例で関節窩よりの烏口突起起始部でのCHLの断裂が確認されたと報告しています。

 臨床において結帯動作の改善に難渋することも多く、今回の文献からCHLのなかでも烏口突起の起始部での動態にも着目していく必要があるのではないかと感じました。


投稿者:服部隼人

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