今回の文献は橈骨遠位端骨折に対する方形回内筋を温存した掌側locking plate法-バイオメカニクス的検討-についてです。
津布久義人ら:橈骨遠位端骨折に対する方形回内筋を温存した掌側locking plate法
日本手の外科学会誌 第25巻 第4号 350-353 2009
近年橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート法が急速に広まり、その最大の特徴として遠位ピンによるsubchondral supportにより橈骨の短縮を防げる点が挙げられます。
そして、手術の際は方形回内筋の切離・縫合が一般的であり、縫合した方形回内筋の保護のために2週程度の前腕の回内・回外運動の制限がされることもあります。
文献内では方形回内筋温存群と、切離・縫合手術群に分けて前腕の回内外の筋力を検討されています。
筆者は以前にも臨床成績において方形回内筋温存群と切離群で術後早期の回復が優れているかということも報告されており、今回は切離した方形回内筋が元の筋力を取り戻せるかという背景のもと検討されています。
方形回内筋を切離するか否かで、回内外の筋力や周囲の軟部組織の癒着の程度なども変わってきます。筋力や、可動域制限が何によるものなのかをしっかり評価したうえで治療していくことが大切であると感じました。
投稿者:吉田雄大