今回の文献は橈骨遠位端骨折に対する保存治療と手術治療の比較検討についてです。
青山広道ら:橈骨遠位端骨折に対する保存治療と手術治療の比較検討
骨折 第33巻 No.1 2011
橈骨遠位端骨折に対する治療はロッキングプレートによるものが中心となり、良好な成績が多く報告されています。ロッキングプレートは解剖学的整復位での骨癒合を目標としています。筆者は保存治療で解剖学的整復位が得られなくても機能評価はそれほど悪くなく、最終的な患者の満足度は高いと感じ、保存治療と手術治療の比較検討をされています。
文献では掌側ロッキングプレートによる固定を行った手術群と前腕ギプス固定にて治療を行った保存治療群で比較されています。X線画像評価としてvolar tilt radial inclination ulna plus varianceを受傷時、整復時もしくは手術時、最終評価時に比較し、機能評価として手関節可動域、Quick DASH-JSSHを最終評価時に測定し検討項目として挙げられています。
保存治療・手術治療のどちらにおいてもそれぞれの患者様に合わせた理学療法を提供することが大切であることを改めて感じました。ただ単に可動域の改善や筋力向上を目標とするのではなく、どういう動作ができれば患者様の暮らしが良くなるかなど、生活背景に合わせたゴール設定を行った上での理学療法を心掛けたいと思います。
投稿者:吉田雄大