日手会誌,第30巻 第3号 300-302,2013
TFCC損傷に対する保存療法として、装具療法は諸々の報告から有効であるとされています。しかしTFCC尺骨小窩付着部損傷の場合は、その解剖学的特徴からDRUJの不安定性を伴うことが多く、保存療法に抵抗した際は手術へ移行することも多いようです。
本文献では、TFCC尺骨小窩付着部損傷であっても、可及的早期(受傷から2か月以内)にTFCC装具の装着を開始した症例では疼痛が有意に改善したと報告されています。
本文献では手関節骨折を除外したTFCC単独損傷症例を対象としていますが、TFCC尺骨小窩付着部の損傷は、治療する機会の多い橈骨遠位端骨折に合併して存在する症例も多いのではないかと思います。手関節や手指の機能ばかりに気を取られがちな私ですが、早期にfovea signやDRUJ ballottement test等の理学所見をしっかりととり、DRUJに起因した疼痛が残存することがないように今後も注意したいと思います。