COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2019年6月12日水曜日

【文献紹介】腰椎神経根症により誘発される鼠径部痛の検討

本日紹介させていただく文献は腰椎神経根症により生じる鼠径部痛について検討された文献です。


佐々木学他:腰椎神経根症により誘発される鼠径部痛の検討.Spinal Surgery 28(1),2014:80-82


対象は下肢や臀部の根性疼痛を主訴とする腰椎変性疾患の症例に対して手術が行われた468例です。方法は診療記録を後ろ向きに調査しています。障害神経根の同定は症状の部位、神経学的所見、画像所見、必要があれば選択的神経根ブロックを追加しています。術直後に下肢の根性疼痛とともに鼠径部痛が消失した症例においては罹患期間、診断、術式、障害神経根、術前に鼠径部以外の痛みのあった部位、発症から鼠径部痛が生じるまでの期間を調査しています。罹患部位はL1/2:2例、L2/3:19例、L3/4:85例、L4/5:268例、L5/S:165例でした。単一レベルの神経根症により鼠径部痛が生じていたのは9例で、罹患部位のL3またはL4のみでした。母集団の多いL5、S1神経根症の症例においては鼠径部痛を呈した症例はいませんでした。また、複数レベルの神経根除圧を行い鼠径部痛が改善した症例もL3,L4のどちらかが含まれていたと報告しています。
これら鼠径部痛が生じていた症例は鼠径部痛のみではなく、大腿前面や膝に疼痛を訴えている症例がいたと報告しています。
デルマトームでは鼠径部痛が生じるレベルはL1,2であるが、今回の研究結果からL1,2由来の鼠径部痛はまれであることが分かったと述べています。
鼠径部痛では大腿前面と膝にかけての下肢痛は閉鎖神経の痛みの部位に非常に似ており、L3,4神経根症による鼠径部痛はL2神経を介した関連痛の可能性があると述べています。

本日紹介させていただいた文献から神経根由来の鼠径部痛はL3,4で頻度が多いことがわかりました。デルマトームの沿っていなくてもその部位に疼痛が生じることもあるため、その他の疼痛部位や症状の所見も詳細に見ていく必要があることがわかりました。

定例会のお知らせです。
日時:6月22日 18:30~
内容:ACL損傷の運動療法
定例会の参加には事前申し込みが必要です。
定員に達し次第締め切らせていただきますのでお早めにお申込みください。
https://ohmi-rigaku.jimdo.com/京都支部/


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