本日紹介させていただく文献は小胸筋の停止腱がどこまで延びているかを観察した文献です。
吉村英哉他:小胸筋の停止についての解剖学的研究.肩関節31(2):217-219,2007
対象は解剖遺体41体81肩です。小胸筋の烏口突起への停止部を調べ、その停止腱全てまたは一部が烏口突起を越えて入る例については棘上筋を切除して小胸筋の停止腱延長部の形態と停止を詳細に調査しています。
結果は小胸筋停止腱が全部または一部が烏口突起を越えて棘上筋の下に入り込んで入る例は28/81肩ありました。
小胸筋の停止腱が全幅延長腱となっていたのが21.4%存在していました。
小胸筋の停止腱の一部が延長腱となっていた例のうち、烏口突起上に達した小胸筋腱の中間部のみ延長していた例が17.9%、外側1/3〜3/4部が延長していたものが53.6%、内側1/2部が延長していたものが7.1%でした。
烏口突起を超えて延びた腱は大結節に向かうもの、関節窩後上縁に向かうものが観察されました。いずれの場合もこつに直接付着せず、関節包に付着していました。筆者らはこれを3つに分類しています。
Ⅰ型:大結節に向かって延びている
Ⅱ型:関節窩後上縁へ向かうもの
Ⅲ型:関節窩後上縁と大結節の2方向に別れて広がって入るもの
過去の報告からも小胸筋の延長腱が30%を超えており、頻度として少ないとは言い難く、今回の検討で小胸筋腱が全幅にわたり延長腱となっていた例からも小胸筋の収縮が直接肩関節の運動に関与していることが考えられると筆者は述べています。
小胸筋腱が延長している例は全症例ではありません。担当している患者さんが小胸筋停止腱が延長してる症例であるかどうかもわかりません。中にはこのような構造をとる症例が存在して入るということを頭の片隅に置いておくことも必要であると感じました。
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
2017年11月6日月曜日
人気の投稿
-
本日は、 TKA 施行時の Lateral release と膝蓋大腿関節(以下 PF 関節)の関係について書かれた文献について紹介させていただきます。 近藤 桂史他:人工膝置換術時の Lateral release と膝蓋大腿関節 Gap との関連性.整...
-
今回は肩甲下筋腱断裂に対する関節鏡下 Suture-bridge 法についての文献を紹介させていただきます。 酒井忠博ら:肩甲下筋腱断裂に対する関節鏡下 Suture-bridge 法 JOSKAS. Vol40. No1. 2015 ...
-
本日は、肩関節周囲炎による夜間痛が関節可動域の予後に及ぼす影響を検討した論文を紹介させていただきます。 高橋康弘、振甫 久ら 他:肩関節周囲炎による夜間痛が関節可動域の予後に及ぼす影響 第 51 回日本理学...
-
本日の文献紹介は、以前京都支部でも症例検討として相談させていただいた腓骨筋腱脱臼に対する手術方法についての書かれている文献です。 Du Vries : Surgery of the foot . Mosby . Jan 1986 腓骨筋腱脱臼を整復する方...
-
本日は Bertolotti症候群について紹介させて頂きます。 Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提唱した症候群であり,最尾側の腰椎横突起が肥大し仙骨との 間に関節を形成,あるいは骨癒合した症例に腰痛が生じる症候群とされています。 ...
