COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年4月19日水曜日

【文献紹介】STGによるACLR後の膝屈曲筋力について

本日は半腱様筋、薄筋による前十字靭帯再建術後の膝関節屈曲筋力について報告されている文献を紹介させていただきたいと思います。





中嶋理子ら:半腱様筋と薄筋による前十字靭帯再建術後の膝屈筋力の筋力低下.臨床スポーツ医学:Vol.13,No.6(1996-6)

この文献では半腱様筋腱(以下ST)と薄筋腱(以下G)を用いて前十字靭帯再建術(以下ACLR)を行い、1年以上経過した症例17(男性4、女性13)STG群とし、コントロール群として骨片付き膝蓋腱(以下BTB)を用いてACLRを行い、1年以上経過した症例10(男性8、女性2)BTB群、および膝関節に外傷歴を持たない健常な成人男性13名をN群とした2群を用いて比較検討されています。

この3群に対し、
①片足立ちでの最大膝屈曲角度を測り、健患差を測定。
②座位、腹臥位での膝関節屈曲45°、60°、90°、110°での膝屈曲筋力を測定し、
 徒手筋力テスト5未満と明らかに左右差を認めるものを陽性とする。
③バイオデックスを用い、角速度180°/秒で等速性収縮させた時の膝屈筋群の
 求心性収縮力の健患差を45°、60°、90°110°においてそれぞれを測定する。
上記①~③を測定されています。

STG群はBTB群、N群に対して有意に健患差が大きかったと報告されている。
BTB群、N群では座位、腹臥位ともに1例に陽性を認め、STG群は座位では90°、110°において3例、7例と陽性で、腹臥位では60°、90°、110°で2例、15例、16例に陽性を認めたと報告しています。
BTB群、N群では45°から110°までに健患差の増減が見られないのに対し、STG群では110°で健患差が有意に増大したと報告しています。

上記の結果からSTGを用いたACLR後では深い屈曲角度で筋力を発揮しにくくなることがわかりました。
また、①②から分かるように股関節肢位が変化することにより健患差がより大きくなることがこの文献の報告から分かるかと思います。
今回は膝関節屈曲筋力について報告された文献の紹介でしたが、ACLR後に出現する症状や機能低下は多々あるかと思います。今後も文献を通して、症例の病態を理解し、評価していけるように日々精進したいと思います。


投稿者:天鷲翔太

人気の投稿