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2019年3月24日日曜日

【文献紹介】腰仙椎固定術後と仙腸関節障害の関連

近年、腰椎固定術後の仙腸関節障害の発生が注目されていると報告されています。
仙骨を含む固定、またLong fusion になるほど発症率が高くなることをUnokiらが報告しているため紹介させていただきます。



Spine (Phila Pa 1976). 2016 Jun;41(12):999-1005. doi: 10.1097/BRS.0000000000001409.
Fusion of Multiple Segments Can Increase the Incidence of Sacroiliac Joint Pain After Lumbar or Lumbosacral Fusion.


腰仙椎固定術後に発症する仙腸関節障害は難治例が多く、内固定を抜去して初めて治療に反応する例が少ないと報告されています。
この研究では、腰仙椎固定術後の仙腸関節障害の発症が仙骨を伴う椎体固定術の数に関連するかどうかを調査されています。

対象は2006年6月から2009年6月までに腰椎または腰仙椎固定術を受けた合計262人の患者です。術前スクリーニング検査にて仙腸関節由来の症状を示さなかった患者を対象として検討しています。これらの患者のうち、28人が術後新たに仙腸関節障害を発症したと報告されています。

結果、仙腸関節障害の発生率は1椎間の固定で5.8%、2椎間の固定で10.0%、3椎間の固定で20.0%、少なくとも4椎間の固定で22.5%であったと報告されています。したがって、発生率は少なくとも3椎間以上の固定術後に有意に高かったと報告されています。ロジスティック回帰分析を行って仙腸関節障害の発生が仙骨を含む固定と固定椎体の数、つまりLong fusion になるほど仙腸関節障害の発症が有意に高くなると報告されています。
そのため固定範囲を最小限にすることが仙腸関節障害の発症を少なくすると述べられています。

実際の臨床において腰仙椎固定術後にPSIS付近または仙腸関節付近に疼痛を訴える症例を経験することがあります。理学所見を確認すると仙腸関節由来の疼痛を疑う所見を確認することがあります。腰仙椎固定術後と仙腸関節障害の関連について考えているとこの論文と出会いました。
機能解剖学的に考えても、腰仙椎固定術後には下肢と体幹の繋ぎ目である仙腸関節には大きなshearing forceが働いていることは容易に理解できます。また、腰椎疾患を有する症例は股関節に拘縮を呈していることも少なくなく、腰椎固定術後には仙腸関節に何かしらのメカニカルストレスが生じやすいことも理解できるのではないかと思います。

腰仙椎固定術後の運動療法を行う理学療法士はこれらを念頭に置いて治療を行必要があると思います。医師は不安定な椎体間に対して究極の安定を求めて固定術後行います。しかし固定術後には上下椎体や隣接関節に負担が生じやすいため、機能を改善する理学療法士は手術のコンセプトを理解し二次的障害を予測しながら理学療法を進めていく必要があると考えます。
病態解釈し手術のコンセプトを理解すると理学療法士として何をすべきかがみえてくるのではないかと考えます。

未熟ながら勉強を続けていきたいと思います。


投稿者:大渕篤樹

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