本日は胸郭出口症候群の病態について報告されている文献を紹介させていただきたいと思います。
小路ら:胸郭出口症候群の病態について-屍体における観察- 整形外科と災害外科 第30巻 第2号274-277 1981.
この文献では屍体22体を用いられ、鎖骨下筋、前中斜角筋とその付着部を観察されています。
筋線維の先天異常については22体の57%に認められており、Roosの分類でtype3、5、6が多く、type1、7、8は全く見られませんでした。
最小斜角筋の有無については12側に認め、起始部はC7横突起が最も多く、次いでC6に認めました。
腕神経叢との関連についてはほとんどがfibromuscular bandと前斜角筋、中斜角筋との間でC8、Th1rootが挟み込まれており、C7が挟みこまれているものも認めました。
type9のみ第一肋骨頸部にて側方から持ち上げられるようにして圧迫されている様子が観察されています。
この文献から斜角筋周囲の解剖学的異常所見や腕神経叢の走行形態について分かりました。
22体44側の観察でnormalであったのは19側、両側ともnormalであったのは6例とかなりの高い確率で異常所見を認めていることが分かります。
しかし異常所見があるすべての例で症状が認められる訳ではありません。
病態について理解を深められるように勉強していきたいと思います。
特別講演のご案内
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「肘関節の解剖と最近の知見~内側と外側~」について東京医科歯科大学運動機能形態学分野の二村昭元先生にご講演していただきます。
基礎講演として明舞中央病院の山本昌樹先生、名古屋スポーツクリニックの中川宏樹先生にご講演していただきます。
日時:2019年4月27日㈯
16:00受付開始
会場:名古屋コンベンションホール
参加費:会員2000円
非会員5000円
学生会員無料 学生非会員2000円
事前登録は不要です。
職場でお誘い合わせの上、是非ご参加ください。
投稿者:天鷲翔太