COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年9月21日金曜日

【文献紹介】術中遠位橈尺関節不安定性が術後成績に及ぼす影響について


三竹辰徳 他:橈骨遠位端骨折に合併した術中遠位橈尺関節不安定性の術後成績に及ぼす影響  日手会誌 201430);p81-84

 本日の紹介させていただく論文は術中に遠位橈尺関節(DRUJ)不安定性が認められた橈骨遠位端骨折の術後成績に及ぼす影響を検討されています。

 対象は橈骨遠位端骨折40例で、術中にDRUJ不安定性を認めたInstability群(I群)、不安定性がなかったStability群(S群)の2群に群分けし評価項目を比較検討されています。評価項目は術前CTにおける橈骨sigmoid notchにかかる骨折の有無、尺骨骨折の有無と転位の程度、最終診察時のROM、握力、Hand20です。

 結果をまとめると各評価項目で統計学的有意差は認めなかったと示されていました。
I群の傾向は以下の4つでした。
①尺骨茎状突起骨折は両群に認められている
sigmoid notchにかかる骨折を合併している割合が多い
③尺骨茎状突起骨折部の転位量が大きい
④尺骨茎状突起水平骨折に対して骨接合術が行われてもDRUJ不安定性が残存している
  症例がいる
 著者は考察の中で骨折に関連する軟部組織損傷の修復を促すことが橈骨遠位端骨折に合併するDRUJ不安定性や尺側部痛を回避できると述べられています。

 尺骨茎状突起骨折=DRUJの不安定性ではないことがわかります。また、術直後のDRUJ不安定性があっても最終診察時のROMや握力などの手関節機能に有意差を認めなかったことから軟部組織損傷の修復を考慮した患者指導、運動療法の提供できれば成績向上につながると思います。画像所見から病態を把握することの大切さを改めて強く感じました。

投稿者:佐々木拓馬

人気の投稿