本日は肘関節内側側副靭帯(MCL)機能不全が肩関節外旋可動域の計測に及ぼす影響について報告されている文献を報告します。
江玉ら:肘関節内側側副靭帯機能不全が肩関節外旋可動域の計測におよぼす影響-屍体肩を用いた研究- 肩関節.2006;30巻第3号:505-509.
この文献では御献体の7上肢を用いられています。
MCLにたいして4つの条件で比較されています。
1.intact 2.前斜走靭帯展開 3.前斜走靭帯後方半分を切離後 4.前斜走靭帯完全切離後
これらの条件の時の肘の外反角度と肩関節外旋角度を計測されています。
1と2に統計学的に有意な差は認めなかった。
3,4では1と比較して外反角度と外旋角度は増加し、外反角度と外旋角度の増加の間には統計学的に有意な相関関係を認めたと報告されています。
この文献からMCLの機能不全により、肩関節外旋可動域へ影響することが分かりました。
MCLが機能しないことで肘関節屈曲位での外反を制動する機能が低下していることが原因かと思います。
肘関節伸展位での外反角度はもちろんですが、屈曲位での不安定性もしっかり確認する必要があると思いました。
また、肩の外旋を見る際にも肘関節までしっかり評価することが重要であると感じました。
投稿者:天鷲 翔太