本日は、伏在神経膝蓋下枝の走行について報告されている文献を紹介させて頂きます。
松永和剛ら:伏在神経膝蓋下枝の走行について
整形外科と災害外科46(3):838~840, 1997.
本文献では、実際のご遺体にて大腿遠位内側で内転筋管(Hunter管)を出た膝蓋下枝が皮下に出るまでの走行と縫工筋の関係について調べられています。
結果は、約半数の伏在神経膝蓋下枝は縫工筋筋腹を貫通して筋表面に走行しており、その他には縫工筋後縁を回り筋表面を前方に向かうもの、2本に分岐しレベルを違えて2本ともに筋腹を貫通し筋表面を前方に走るもの、2本に分岐し分岐し1本は筋腹を貫通し、もう1本は筋後縁を回って筋表面に出るものがあったと報告しています。
また、海外の文献を散見すると、Sirangらは、筋腹を貫通するものが半数を占めていたと報告しており、Arthornthurasookらは、筋後縁を回るものが半数以上だったとの報告がありました。
今回調べてみて、伏在神経膝蓋下枝と縫工筋は密接な関係にあることを学びました。TKAでは皮切により伏在神経膝蓋下枝へ侵襲が加わる場合が予測できるため、TKA施行後に神経由来の膝前内側部の疼痛を訴えられる際には知覚障害などの神経症状を確認するとともに、縫工筋との関係も念頭に置きながら病態解釈にあたりたいと思います。
投稿者:鷲見有香