膝関節可動域の制限因子として、寄与率が高いのは骨間筋や関節包であり、皮膚組織の寄与率は15%程度と言われています。
本日の論文は、他動膝屈曲時の膝前面の皮膚可動性に着目し、健常高齢者と比較することでTKA術後患者の皮膚可動性の特徴を明らかにすること。また、TKA術後患者を獲得している屈曲可動域に応じて群分けし、術後屈曲可動域と皮膚可動性の関係性を検証されています。尚、皮膚可動性の測定は、膝関節周囲の皮膚上に測定点をマークし、膝関節を他動屈曲させたときの縦と横方向の測定区間距離を計測されています。
結果から①TKA術後患者の皮膚は健常高齢者と比較して特に膝蓋骨上部と膝蓋腱付近の縦方向の可動性が低下していること。②皮膚の縦・横方向の可動性は術後屈曲可動域に対する強い制限因子ではないこと、の二点が明らかにされています。
結果①に関して、日々臨床の中で感じており、改めて術後早期より拘縮予防に努める必要があると思いました。また、皮膚だけでなく、その深部にある軟部組織の柔軟性や組織間の動きを評価することが大切だと思います。知識や評価・治療技術を高めてTKA患者の術後可動域の成績がより良くなるように日々精進します。