ラット膝関節の運動制限と膝蓋下脂肪体の萎縮:松崎太郎ら 日本理学療法大会2011
IFPの拘縮は深屈曲可動域、伸展可動域の制限因子となり、TKAの際には切除する場合もあります。しかし、IFP切除による膝蓋腱の変性や短縮、疼痛の出現など、デメリットも報告されています。そこで、今回はIFPの拘縮に着目してみました。
以前、IFPは関節固定にて脂肪細胞面積が減少するという文献紹介がありましたが、今回紹介する文献は9週齢のラットを5群(対照群、関節固定群、固定+運動群、脱神経群、脱神経+固定群)に分けたのち、2週間後のIFPを顕微鏡にて観察しています。
それぞれの群のIFPの面積をみていくと、固定群、固定+運動群、脱神経+固定群で面積が減少していたという結果であり、固定によって脂肪細胞が減少しました。
このことから、IFPは関節運動に関与することが考えられ、早期運動療法がIFPの拘縮予防につながることが予測できると思います。鏡視下手術やTKA術後の患者さんではIFPに侵襲が加わるため拘縮が生じやすく、侵害受容器が豊富なIFPでは疼痛が伴うと考えられるため、術後早期は炎症管理を徹底し、IFPが拘縮する2週間以内に可動性を獲得していく必要性を改めて感じました。
投稿者:鷲見 有香