本日は膝関節屈曲時の膝窩部痛の原因について、遺体解剖による考察が書かれた文献を紹介させていただきたいと思います。
国中ら:膝屈曲時の膝窩部痛の原因について 第2報 -遺体解剖による考察- Japanese physical therapy association,骨・関節系理学療法19,pp442
膝関節屈曲時における膝窩部痛は膝関節疾患に多くみられることが冒頭に記載してあります。私が担当させていただいている症例にもこのような所見があり、今回紹介させていただこうと思いました。
この文献では大腿骨、脛骨の可動性が充分保証されている4体の膝4関節及び、観察用に22体膝44関節を用いて観察されています。
可動性の充分保証された膝4関節は伸展位から最大屈曲位まで可動し、膝窩部の様子を観察しています。観察用の22体膝44関節においてはファベラの有無の確認に用いられました。
結果として可動した4関節においては膝屈曲角度の増大に伴い、腓腹筋内側頭が起始部にて折りたたまれて圧迫され、膝窩筋は伸張されたと報告しています。
また、4関節の内2関節においてはファベラが存在していました。屈曲角度の増大に伴い、膝窩筋にファベラが接触し、圧迫強度が増加したことを報告しています。
観察に用いられた22体膝44関節のうち、7関節にファベラが存在していたとも報告しています。
腓腹筋内側頭による膝窩筋の伸張がみられたことと、ファベラによる膝窩筋の圧迫がみられたことの2つの報告から疼痛の原因の1つとなるのは膝窩筋であるということが示唆されています。
また、ファベラの存在の有無を確認することで、疼痛部位を推察出来ることを示唆しています。
膝窩筋の伸張性が低下した症例ではより疼痛が生じやすいのではないかと考えます。膝窩筋の評価をしっかり行うためには解剖学の知識、触診技術が重要であると改めて感じました。
投稿者:天鷲翔太