文献紹介
FRACTURES OF THE DISTAL RADIUS AND ULNA
Journal of Hand Surgery 20B:3:357-364 1995
本日は、尺骨遠位端骨折の分類で見かけることの多いBiyaniらが報告した、橈尺骨遠位端骨折後の、特に前腕回旋可動域の治療成績について述べられた文献を紹介します。
橈尺骨遠位端骨折の治療成績は、骨折した橈骨のタイプや重症度に依存することが多いですが、尺骨の骨折もまた、予後を左右する重要な要素であると述べています。
Biyani分類
Type1. 尺骨の骨幹端の単純関節外骨折
Type2. 尺骨の骨幹端と茎状突起の骨折で、T字もしくはY字型を呈する骨折
Type3. 尺骨の骨幹端骨折と、茎状突起部の剥離骨折
Type4. 尺骨遠位端の粉砕骨折(尺骨茎状突起部の骨折の有無は問わない)
この報告では、Type4のような重症度の高い症例でも、骨折後に偽関節へと発展することで前腕可動域は良好となったが、むしろ重症度の低い症例に、仮骨が遠位橈尺関節内に侵入することで前腕の回旋制限を認めたと述べられています。
現在、Biyani分類Type1に相当する橈尺骨遠位端骨折症例を担当しているところです。患者さんの様々な痛みの訴えに、それらの解釈と治療に難渋していますが、1つ1つ治せるように今後も努めたいと思います。
投稿者:竹下真広