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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年5月6日水曜日

文献紹介:上腕三頭筋長頭腱起始部の解剖学的研究

一般的に、上腕三頭筋長頭腱(以下、LHT)の起始部は肩甲骨下部の結節部であるとされていますが、その詳細の解剖学的研究はされていません。今回、紹介する論文では系統解剖用屍体を用いてLHTの起始部の調査が行われています。

16例16肩を使用して調査されており、調査項目としては
P(position) :肩甲関節窩縁に最も近接した付着部の上端部分の位置
D(distance)   :肩甲関節窩縁から付着部までの最短距離
W(width)      :付着部の縦幅
T(thickness)  :付着部の横幅

結果、LHTの近位部は起始部に近づくにつれて腱組織が近位上方に筋組織が下方または後方に位置する形態となり、最終的に腱組織へと移行し肩甲関節窩の下方、後方に付着していました。また、形態は大きく3つに分類でき、16例中8例は逆三角形、7例は紡錘型、1例は楕円型に分かれていました。

付着部の位置(P)は、6:00、6:30の位置が多く、関節窩から付着部までの最短距離(D)は、平均1.5mmと、様々なバリエーションがあることが分かりました。付着部は一般に考えられているよりも関節窩近傍まで存在していることがわかりました。

この論文以外では、関節包に筋線維の一部が連結してるというものなど解剖学的研究はありますが、機能的なものを示した論文は少なく肩関節障害にどこまで影響を及ぼしているかも報告は少ないです。
臨床では、骨頭の上方偏位の一因として、この上腕三頭筋の起始部が肩甲骨の上方回旋に伴い後下方から押し上げてしまっているという事をよく経験します。今後、臨床所見からも解明できるように日々の臨床に向き合っていきたいです。


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