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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年5月9日土曜日

反復性肩関節前方脱臼患者における外転90度での内外旋角度に伴う前方動揺性の変化

 今回は反復性肩関節前方脱臼患者における外転90度での内外旋角度に伴う前方動揺性の変化についての文献を紹介します。

            小泉ら:反復性肩関節前方脱臼患者における外転90度での内外旋角度に伴う前方動揺性の変化
                        肩関節.2011:35巻第3:771-773


 肩関節前方脱臼は肩関節の外転・外旋・伸展位で生じやすいとされています。しかし反復性肩関節脱臼症例においては、外転・外旋・伸展位以外の肢位で前方脱臼を起こしている症例についての報告が散見されます。今回の文献は反復性肩関節脱臼症例に対して、全身麻酔下で肩甲骨面での肩関節外転90度位に保持し、最大外旋位から最大内旋位まで10度ごとに変化をさせながら前方引き出しテストを実施した際の骨頭の前方移動量(前方動揺性)について評価を行い、易脱臼肢位について検討されています。

 結果として、一般的に易脱臼肢位と考えられている肩関節外転90度・最大外旋位では、前方動揺性は減少する傾向にあり、内外旋中間位(外旋25度付近)で最も前方動揺性が大きく、最大外旋位・内旋位では小さくなる傾向であったと報告しています。

 今回の検討は、全身麻酔下であることや腱板筋群・上腕二頭筋などの動的な制御機能を評価していない点においては、実際の臨床との関わりは不透明であると考えられますが、一般的な易脱臼肢位とされていた肩関節外転90度・最大外旋位では、静的な前方安定化機構である下関節上腕靭帯複合体は骨頭の前方移動を抑制し、内外旋中間位(外旋25度付近)では前方移動において抑制への関与が減少すると著者らは述べています。この文献から反復性肩関節脱臼の病態について再考する機会を得ることができました。臨床で反復性肩関節脱臼の患者様を治療する場面において以上の研究結果があることを認識し、評価および治療につなげていきたいと感じました。

投稿者:服部隼人



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