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2019年2月14日木曜日

【文献紹介】MRIによる腰椎術後硬膜外血腫の評価


臨床で腰椎術後に下肢痛やしびれなどが遺残したり、新たに発生することを経験したとはあるのではないでしょうか。腰椎術後に下肢症状が残存する因子については様々な報告がありますが、今回紹介する論文では腰椎術後硬膜外血腫の有無が術後症状に影響するかについて調査されています。



この論文では、腰椎術後に残存する下肢症状が術後硬膜外血腫により引き起こされている可能性について検討されています。
対象は腰椎手術後にMRIを撮影した66症例です。血腫の有無により術後症状に差があるか否か、後向き研究を行い調査されています。
結果はMRI上、血腫を認めた症例(以下,陽性群)は30例、血腫を認めない症例(以下,陰性群)は36例でした。これら2つの群の間で殿部痛の割合は陽性群40.0%、陰性群16.7%と有意差を認め(P=0.034)、下肢痛の割合も陽性群40.0%、陰性群16.7%と有意差を認めていました。(P=0.034).腰痛、下肢しびれ、MRI撮影時および退院時における術前と比較した筋力低下の有無、および退院時のJOAスコアの改善率においては有意差を認められませんでした。術後硬膜外血腫は強い痛みや筋力の低下を来して血腫除去術を必要とする以外に自然消失する血腫があり、殿部痛や下肢痛の遺残など術後早期の経過を不良にしていることが考えられると報告されています。

梨状筋症候群が腰椎変性疾患に合併した場合に、術前評価では神経学的所見がマスクされ術後に梨状筋症候群の存在が明らかになるという報告も散見されます。
その他、腰椎疾患以外で坐骨神経様の症状を呈する病態として、deep gruteal syndrome、far-out-syndrome、仙腸関節障害、上殿皮神経障害、膝窩下絞扼性神経障害など様々なことを念頭において評価することも重要と考えます。術中所見なども医師に確認し血腫の有無による影響も考慮して評価することも重要ではないかと感じました。

投稿者:大渕篤樹


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