本日紹介させていただく文献は脛骨高原骨折の術後成績(経過観察時における関節鏡の有用性について)です。
中平ら:脛骨高原骨折の術後成績~経過観察時における関節鏡の有用性について~
中国・四国整形外科学会雑誌 1995
本研究は観血的治療を行った脛骨高原骨折の治療成績を調査するとともに、荷重開始前に行った関節鏡の有用性について検討されています。
対象は脛骨高原骨折に対して観血的治療が施行された13例13膝とされています。また骨折型としてはHohlの分類でminimally displaced3例、split depression3例、comminuted4例、分類不能1例です。手術としては全例に対しプレート固定が行われています。
治療成績についてはHohl Luckの判定基準を用いられ、解剖学的評価はexcellentが10例、good1例、fair1例であり、機能的評価はexcellentが12例、fair1例でした。fairの1例はどちらもsplit 型で荷重歩行開始後徐々に再陥没が進み、関節の側方動揺性とOA変化をきたしたものでした。
また、術後関節鏡において6例に軟部組織損傷が発見されています。関節鏡を用いることで、軽微な半月板やACL等の損傷も発見され、術後4~6週では軟骨様組織による修復が進み、骨折線部位に軟骨様組織の隆起がみられたと報告されています。
脛骨高原骨折に対する治療成績の不良因子として関節面の高度粉砕骨折、陥没、整復不良、後療法遅延、年齢、軟部組織損傷、多発外傷などが報告されています。
本研究の結果から、split depression型がfairとされているように骨折型によっても予後が考えられることがわかります。しかし、詳細な軟部組織の損傷や、陥凹の程度の記載がないため、画像所見・理学所見をもとに細かく評価していく必要があることがわかります。
これらのことから、骨折の患者様を担当した際には、受傷機転や骨折の型、画像所見から損傷されるであろう軟部組織を想定し、評価・運動療法を組み立てていくことの重要性を学びました。
投稿者:小林 駿也
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