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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年3月13日月曜日

【文献紹介】膝窩筋の形態学的研究

本日紹介させていただく文献は屍体の膝窩筋を肉眼的に観察した文献です。

金子勝治:膝窩筋の形態学的研究.日本医科大学雑誌33(4):213-219,1966


対象は学生実習用屍体50体100膝です。検討項目はLCLの走行と膝窩筋腱の関係、LCLの起始と膝窩筋腱の位置関係、膝窩筋の形態、膝窩筋腱の分岐です。
これらの検討項目の中でLCLの走行と膝窩筋腱の関係について検討された項目に着目しました。

著者は膝窩筋の起始部について5つに分類しています。
Ⅰ:外側上顆から起るが、LCLと関係がない(62%)
Ⅱ:外側上顆とLCLから起こるもの(10%)
Ⅲ:LCLから起こるもの(7%)
Ⅳ:LCLと共に外側上顆から広く起こっているもの(12%)
Ⅴ:外側上顆と関節包から起こるもの(9%)

いくつかの解剖学書を見ても起始部の記載は書籍によって異なっていました。共通して記載されていたのは大腿骨外側上顆です。今回検討でも外側上顆から起始しているのが93%とほとんどが外側上顆から起始していることが確認できました。しかし、外側上顆以外の起始部については一致しておらず、個体差が見られれることが分かります。

Ⅴ型に分類した膝窩筋腱は、膝窩筋腱と同様の幅で関節包に付着しているものとされています。Ⅴ型以外に分類された膝窩筋すべてにおいても関節包への付着は認めていたものの、多少の線維であったと著者は述べています。
膝窩筋腱は関節包から起始していると思っていましたが、この論文の結果では関節包から起始しているのが9%と少ないことが分かりました。膝窩筋には関節包を引き出す作用があることは報告されていますが、実際には多少の線維がどのくらいなのか、Ⅴ型以外に分類されたものでも関節包を引き出すだけど結合があるのか疑問に思いました。
他論文ではどのように報告されているのかも調べてみたいと思います。また、機会があれば実際のご遺体で確認したいなと思いました。

投稿者:堀内奈緒美



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