COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年6月7日水曜日

【文献紹介】肩甲挙筋、前鋸筋、菱形筋の解剖について

本日は肩甲挙筋、前鋸筋、菱形筋の機能解剖について報告されている文献を紹介させていただきたいと思います。




五十嵐絵美ら:肩甲挙筋、前鋸筋、菱形筋の機能解剖学的研究.東北理学療法学 第20号:65-672008



この文献では解剖実習体1530(男性8体、女性7)を用いて、肩甲挙筋、前鋸筋および菱形筋の形態を観察されています。観察するのは各筋の付着部の形態、過剰筋束の有無です。


観察していくと、肩甲骨内側縁の胸郭側(腹側)から菱形筋、肩甲挙筋が付着し、その背側に前鋸筋が付着していたと報告しています。全30肩で肩甲挙筋、菱形筋および前鋸筋の間は繊維性結合組織で密に連結しており、1枚のシート状の形態を呈していたとも報告されています。
肩甲骨上角部では肩甲挙筋が腹側から背側にかけ前鋸筋と一体になって付着し、3筋が相互に線維性結合組織で連結しているため明瞭に分けることは出来なかったとも報告されています。

過剰筋束は肩甲挙筋から前鋸筋へ30肩中18肩にみられ、18肩中3肩に小菱形筋への過剰筋束が存在していたと報告しています。


これらの報告から肩甲挙筋、前鋸筋および菱形筋の3筋の肩甲骨上角への付着部では3筋は連結していることが分かりました。
当然のことではありますが、肩甲帯の評価・アプローチをする際には個々の筋だけでなく、3筋の状態や関係性について考えて理学療法を進めていきたいと思います。
また、今回の文献では肩甲挙筋、前鋸筋、菱形筋の3筋についてのみ観察されたものでしたが、肩関節周囲の解剖の知識を深め、統合して評価、考察していけるように日々精進していきたいと思いました。



投稿者:天鷲翔太

人気の投稿