対象は関節鏡視下半月板切除を施行された12歳以下の小児膝7例8膝を対象とし、術前後の半月損傷治療成績判定基準(JOA)と単純X線を用いて臨床成績を評価されていました。尚、全例受傷機転は不明であり、明らかな外傷も認めませんでした。
結果から、全例で半月板の水平断裂を認め、完全型のdiscoidが8膝中7膝で認められた。術式は7例が亜全切除で、1例のみ部分切除が施行されていました。また、JOAは平均が術前の50.0点から96.3点と著明に改善されていました。
文献内で紹介されている症例もLMの完全型discoidと診断され、亜全切除を施行されており、JOAが40.0点から95.0点へと改善されていました。
以上のことから、低年齢でのdiscoidは完全型が多いことがわかりますが、このようなことは他の文献でも紹介されています。
ここで気になったのは、
「低年齢で完全型が多く、加齢により不全型が増加するのは何故なのか?」
というところです。
本来半月板は、膝関節の運動に伴って移動するが、円板状半月板ではその動きが阻害されやすく、疼痛やロッキングといった症状が出やすいとされています。
本来の半月板の動きを行わないということは、周辺の軟部組織にも少なからずストレスが生じていることでしょう。
加齢により不全型が増加するのは、discoid部分にストレスがかかり続け、年月を重ねて磨耗し、完全型から不全型に変化しているのではないかということが考えられます。つまり、軟部組織のストレスが長年かかり続けているということにつながるのではないでしょうか。
小児の段階でdiscoidの切除を行なった場合、術前にかかっていたであろう軟部組織バランスを修正してあげることが、術後のリハビリでは大切になるのではないかと思います。
そのため、小児のdiscoid切除術後のリハビリを担当させていただく際は、術前評価をしっかり行うことが重要であると考えています。
今回紹介した症例だけでなく、すべての疾患においても術前評価は重要な意味を持ちます。最適な評価を行えるように、さらなる知識・技術の向上を図りたいと思います。
投稿者:高橋 蔵ノ助