今回は、ACLR後の脛骨前方移動について述べられた文献について紹介させていただきます。
対象はSTG法にてACLRを施工され、second lookを行った10例で、全員受傷機転は非接触型とされています。
測定項目はACLR施行1年後の脛骨前方引き出し(ATT)の健患差、術前のハムストリングス/大腿四頭筋(H/Q比)、術前片脚スクワット時の膝外反角度、術後2w時の膝関節最大屈曲伸展角度とされており、ATTとそれぞれの測定項目との関連を検討されています。
重回帰分析の結果、ACLR施工1年後のATTに関連する因子として術前H/Q比、術前片脚スクワット時膝外反角度、術後2w時膝関節最大伸展角度が抽出されていました。
上記から、H/Q比が小さい・片脚スクワット時膝外反角度・術後2w時膝関節最大伸展角度が0°に近づくと、脛骨前方移動量は増加しやすいということが考えられます。
ACLはその形態や動態から、膝関節を安定させるために、様々な制限があります。非接触型ACL損傷を受傷された患者様の多くは、受傷時に膝外反や脛骨の内旋、膝関節の過伸展が強制され、ACLが起始部から剥離もしくは実質部が断裂するという背景が見受けられます。
ACLR後の理学療法を担当させていただく際は
・再建靭帯の修復過程を把握すること
・いつ頃から再建靭帯にどの程度のストレスをかけていけばいいのか
などといったことに注意しながら理学療法を進めさせていただいています。
ACLの動態やACLR後の理学療法については、多くの文献によって報告されています。今現在の知識だけでなく、さらに知識を深め、より良い理学療法を提供できるように日々努力していきたいと思います。
投稿者:高橋 蔵ノ助