文献紹介
橈骨遠位端骨折に用いた掌側プレートによる長母指屈筋腱断裂:腱断裂を予防するための試み
骨折 第33巻No.4 2011 p783-786
本日は、橈骨遠位端骨折に対して施行される掌側プレートの合併症として報告の多い、長母指屈筋腱断裂の予防について報告された文献を紹介します。
掌側プレート術後、長母指屈筋腱断裂の生じ得る期間については、諸々の報告より術後から1年程度は発生する可能性があるとされているようです。著者らは長母指屈筋腱断裂について、腱断裂に先行して母指自動運動時の違和感や痛み等の腱刺激症状が出現する可能性が高く、同症状を認める場合には抜釘で腱断裂を予防できる可能性があると述べています。
当院でも掌側プレートが用いられた橈骨遠位端骨折症例は多く、術後は長母指屈筋腱の滑走性維持・改善を目的とした運動療法を実施しています。必ずしも腱刺激症状の出現=腱損傷・腱断裂ではないかもしれませんが、今後もX線所見と合わせて、腱刺激症状のような臨床所見も注意深く観察しながらリハビリを実施していこうと思います。
投稿者:竹下真広