腱板断裂術後のMR画像にて、腱板付着部の高輝度部分の低信号化は腱板自体の回復を示しており、術後1年より低信号化する症例が多いと報告されています。本日の論文は、術後6か月以降に低信号化を妨げる因子を検討されています。
対象は、棘上筋を中心としたlarge tear以下の腱板断裂術後症例のうち、術後6か月のMRI T2強調画像で腱板内に全層性高輝度変化を示した70例71肩です。これらの症例を術後一年で低信号化したL群としなかったH群の2群に分類して、以下の項目を比較されています。
①術前因子(病歴、断裂サイズ、UCLAスコア、JOAスコア、ROM、MMT)
②術後因子(UCLAスコア、JOAスコア、ROM、MMT)
結果、術前の阻害因子としては腱板断裂サイズの大きいこと、術後の阻害因子では外転と下垂位外旋可動域の改善率が悪いことが示されていました。
これより、術前のMR画像から断裂サイズを把握する読影力の必要性を改めて感じました。また、術後に拘縮をつくらないことは大前提ですが、修復術後には特に外転、下垂位外旋の可動域制限を作ってはいけないことがわかりました。
投稿者:佐々木拓馬