日常生活動作には結滞や下肢更衣など内旋動作が多く、内旋制限の改善は臨床上重要であると思います。
本日は、烏口上腕靭帯に着目して、内旋制限の原因となる病態を調査した論文を紹介させていただきます。
この研究では内旋制限を主訴とする23症例(病態:凍結肩、平均年齢:61.5歳)に対して、局所麻酔下に非観血的授動術を行い、断裂する解剖学的組織をMRIで同定し、内旋制限に対する内旋授動術の効果を調査されています。
結果は授動術後のMRIより関節窩よりの烏口突起起始部での烏口上腕靭帯の断裂が確認され、その他の組織断裂は認められなかったことが示されていました。また、授動術後の可動域は下垂位内旋、水平内転、外転位内旋、屈曲位内旋で有意に改善したと報告されていました。この結果に対して筆者は烏口突起から棘上筋・棘下筋を連結するCHLの癒着が肩前方組織の滑走性を低下させ上腕骨頭の動きを制限している可能性があると考察しています。
内旋制限を改善させるためには後方組織由来だけでなく、前方組織にも着目して評価・治療を行う必要があると思いました。自分の中の病態解釈の幅を広げて治療成績があがるように努めていきたいと思います。