本日の論文は、超音波を用いた動態評価が、腱板修復術後の肩関節機能の反映に有用であるかどうかを検討されています。
対象は、腱板断裂に対してmini-open repairを行い、術後1年以上経過した586肩(男性326例、女性260例、平均年齢61歳)です。
方法ですが、①座位での内外旋運動を棘上筋長軸方向からプローブを当て、腱板表面と三角筋下面の動態を描出し、②境界エコーを3つのtypeに分類した後、type1の良好群(467肩)とtype2.3の不良群(119肩)に群分けして、③各評価項目について2群間で比較検討されています。なお、評価項目は病歴、ROM、MMT、UCLA scoreや断裂サイズなどです。
結果は、腱板と三角筋下面での境界エコーが不明瞭で、滑走性が低下していたtype2.3の不良群はほとんどの項目で有意に低値を示し、肩関節機能の回復が不良であることが示されていました。
たくさんある結果の中から気になったことは、ROMの項目の中で不良群が有意に低値になったのはC7-thumb distance(CTD)、すなわち、結滞動作に起因する内旋可動域制限でした。結滞動作を制限する因子は色々と報告されていますが、腱板と三角筋下面の滑走性を評価・治療することは結滞動作の改善につながると思いました。
投稿者:佐々木拓馬