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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2023年2月17日金曜日

【論文紹介】膝OAに対する理学療法は内側半月板逸脱を減少させるのか?

 膝OA症例で半月板に付着する軟部組織の評価・治療を行うことが増え、学術的な報告を調べています。膝OAを対象に徒手療法・運動療法を実施し、MMEに及ぼす影響を検討した報告を紹介します。




Purpose

膝OA患者に対する理学療法がMMEに及ぼす影響と膝痛および ROMの変化との関連性を明らかにすることである。



Materials and methods

選択基準は、(1)内側型膝OAの診断 (2) 超音波で確認された 3 mm を超える MME (3) 膝関節伸展の可動域制限がある (4)歩行時の膝の内側の痛み(5) 週に 2 回、8 週間 (8w) 継続して理学療法を受けている(6) 2 週間ごとに8週間、継続的な超音波検査と ROM および痛みの評価を行なっている者。

除外基準は、(1)両側膝OA(2) 半月板損傷および以前の半月板手術後(3) 内側側副靭帯 (MCL) 損傷。 (4) 膝関節の関節腔周囲の骨棘。 (5) 膝の関節水腫(6) 神経学的、炎症性、または全身性疾患の存在(7) 測定値の欠落(8)フォローアップの喪失。

KLGradeは、grade1:5人、grade2:9人、grade3:11人、grade4:5人だった。

すべての外来患者は、1 人の経験豊富な理学療法士による膝関節の理学療法を週 2 回、8 週間各1単位で受けた。ストレッチと受動的 ROM エクササイズを行なった。半膜様筋腱直頭線維はすべての患者で触診に圧痛があったため、徒手的にストレッチと膝関節を他動的に伸展および内旋させた。

2w、4w、6w、および8wの各値からベースラインの値を差し引くことにより、すべてのパラメーターの変化を算出した。 スピアマンの順位相関係数を用いてすべてのパラメーターの変化間の関係を調査した。



Result

すべてのパラメーターは、NWMME non-weight-bearing で有意性を示した。 

NWMME と WMME (weight-bearing )がそれぞれの期間で有意差を示したが、6w と 8w の間は例外だった。

NWMME は、ベースライン時 (3.6 ± 0.3 mm) よりも 8w (3.0 ± 0.4 mm) で有意に低かった。

WMME も、ベースライン時 (4.3 ± 0.4 mm) よりも 8w (3.8 ± 0.5 mm) の方が有意に低かった。 

ボンフェローニ検定では、ROM と痛みが 4 週、6 週、8 週で有意差を示した。

ROM は、ベースライン時よりも 8 週で有意に大きかった 。 

疼痛は、ベースライン時 (7.0 ± 0.9) よりも 8w (1.1 ± 1.4) で有意に低かった。

ベースラインと 8w の間の平均差は、NWMME で 0.6 ± 0.4 mm (0.8 ~ 0.5 mm)、0.6 ± 0.2 mm(0.7~0.5 mm)  に達した。8wで、半膜様筋腱直頭線維の圧痛はすべての患者で消失した。

各パラメータの相関関係は、NWMME と痛みの間、および WMME と痛みの間で中程度の正の相関を認めた。 ただし、ROM と MME の間に有意な相関はなかった。



Conclusion

理学療法が膝OA患者のMMEの程度を減らす可能性があることを明らかにした。超音波所見は、伸展ROMの改善がMCL 緊張の再獲得につながった可能性があり、それが MME の減少に影響を与えた可能性がある。 理学療法は、MMEを減少させるための実行可能な保存的治療である可能性がある。




膝OAに対して運動療法、徒手療法が有用であることを示した論文の一つです。

一方で、症例にはKL glade3,4が含まれています。構造破綻が顕著な症例は様々な問題が混在しているので「MMEを減少させる」ということの意義からブレてしまうのではないかと感じました。

伸展制限の除去は膝OA症例を治療していく上で重要な要素であると再認識しました。





投稿者:尼野将誉








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