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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年10月15日日曜日

【文献紹介】正常腱骨付着部形成と腱板縫合後腱骨間治癒過程の三次元超微形態解析

本日紹介させていただく文献は腱板の正常な付着部と縫合後の付着部を三次元超微形態解析した文献です。



金澤知之進:正常腱骨付着部形成と腱板縫合後腱骨間治癒過程の三次元超微形態解析.久留米医学会雑誌80(4,5):117-127,2017


正常腱骨付着部→力学的ストレスを分散できるように腱線維が幅広く広がりつつ骨に付着
        4層構造を呈している(腱-非石灰化軟骨-石灰化軟骨-骨)。
縫合術後の付着部→腱表面の錨着により力学的強度を保持

今回ラットで急性腱板損傷を作成し、縫合術をを施行し付着部を観察しています。
正常もラットの付着部を観察しています。

正常腱骨付着部の形成過程は出生後に生じる劇的な力学的環境変化にさらされることにより、コラーゲン線維束、細胞の形態や分布を含めた組織構築もスムーズに成熟させていき、同時に腱骨付着部に存在する細胞群は出生後約4週の間にその細胞形態をドラスティックに変化させていると報告しています。
縫合術後の4,8,12週の各週数において力学的評価として引張破断試験を行なっています。
週数を経るに従い最大破断応力は有意に増加したが、術後12週の時点でも以前正常付着部と比較して有意に低かったと報告しています。
また、光学顕微鏡による観察では血管線維性組織が介在し、コラーゲンの生成や配列は未熟であり、これも正常とは異なる組織構造であったと報告しています。

筆者は、縫合術後の付着部形態や治癒過程が正常な付着部と異なることが異なっていることを報告し、今後際断裂を起こさないために、腱骨間治癒過程に存在する細胞群やコラーゲン線維束に対して、正常付着部形成過程を経た構造を模倣するよう誘導していく必要があると述べています。


腱板の治癒過程についてはいくつかの報告がなされており、6週以降から瘢痕組織に覆われ、強度が増してくるとの報告もあります。
今回の報告は12週までの検討であり、時間を経るにつれて強度は増してくるが、12週の時点でも正常の強度に達していないことに加え、組織学的にも異なる形態であることがわかりました。
術後の大きな問題の1つとして再断裂が報告されており、リハビリも慎重に行う必要があります。どのくらいの時期にどのくらいの強度であるのか、破断強度を知っておくことはとても重要であると感じました。これはARCRに限ったことではなく、靭帯再建や縫合術後においても同様のことが言えるため、これらが検討されている文献を読んでいく必要があると感じました。








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