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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
2019年1月12日土曜日
【文献紹介】腰椎手術後の不安定性について
腰部脊柱管狭窄症に対する手術的治療としては後方除圧術が一般的です。
脊椎における神経除圧術は支持機構の切除や椎間板への侵襲を伴い、その侵襲の程度により椎間安定性の損失を生じると報告されています。
この研究では、椎弓切除および還納が腰椎安定性に及ぼす影響について力学的に検討しています。
対象は新鮮凍結ヒト屍体標本6体です。性別は男性2体、女性4体であり、平均年齢 は67歳です。術前(a)、椎弓・関節突起切除(b)、椎弓還納(c)の三つの異なる条件(図①)に対して10kgの重量負荷を加えた状態で6方向(Flexion/Extension・.Axial Rotation・Lateral Bending)のROMを検討しています。
結果、exion/Extensionでは、椎弓・関節突起切除後に有意にROMの増大を認めています。Axial Rotationでは、椎弓・関節突起切除後に有意にROMの増大を認めています。
椎弓還納後は減少したものの有意な増大は残存しています。
これらの結果から、棘突起の存在は腰椎安定性においてextension blockerと して重要であり、術後、安定性が得られるまで腰部の回旋制限が重要であると述べられています。
脊柱管をつくっている壁は、椎体・椎間関節・椎弓です。とすれば脊柱管を広げるにはこのどれかを削って神経を除圧すということです。
脊柱管狭窄症術後症例の手術記録を確認すると同じ術式ですが、なされている処置は様々なことに気づきます。一般的には椎弓と必要に応じて椎間関節の一部を削って脊柱管を広げますが、狭窄が重度な場合あるいは脊柱管から外へ出てゆく神経根の通り道が狭い場合には、椎間関節の大部分を削っている場合もあります。このような場合は固定術を併用しますが除圧のみの症例も経験したことがあります。
脊椎術後の理学療法を行うにあたり、これらの所見を把握することで考えられるリスクや、今後起こりうる二次的障害を予測することができ、適切なADL指導にも繋がります。
脊椎術後には上殿皮神経障害が生じやすいという報告や、ヘルニアなどの椎間板切除後には構造上、椎間関節障害や変性すべりが生じやすい状態になることも理学療法士としては念頭に置く必要があると考えます。
脊椎術後の理学療法は患者さんの予後を大きく左右すると考えられるため、もっと勉強しなければならないと思いました。
投稿者:大渕篤樹
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