対象は解剖実習体の非腱板断裂肩70肩と腱板断裂肩12肩です。まず非腱板断裂肩において棘上筋の腱性部から延びだして棘下筋を交差し後方へ走る表層繊維の頻度を調査し、続いて腱板断裂肩の断裂の大きさと関連して表層線維の有無やその形態について調査されています。
結果です。非腱板断裂肩の89%に棘上筋の腱性部から延びだして棘下筋を交差し後方へ走る表層繊維が認められ、扇状に棘下筋腱前外側部の表面を覆うものや棘下筋を乗り越えて大結節後方まで延びているものが観察できたと報告されていました。一方、腱板断裂肩では7肩で断裂部後縁に接して棘上筋腱性部から棘下筋を交差して後方に向かって走る太い繊維束が確認され、この繊維束の下面には棘下筋の大結節付着部が認められたと報告されていました。
詳細に解剖を理解することで評価項目や病態を推察または解釈する引き出しの数が増えると思います。もっと知識量を増やして日々の臨床に役立てたいと思います。
投稿者:佐々木拓馬