こんばんは。本日は拘縮肩についての論文です。
拘縮肩は臨床において数多く経験する疾患で、肩関節の関節可動域制限を主体とする疾患です。様々な要因から発症するため原因ははっきりしない事が多いとされています。そのため拘縮肩の治療においても、拘縮しないための予防としても、拘縮肩になりやすい特徴的な姿勢や動態の把握の理解は重要かと思います。
浜田ら:拘縮肩の病態と治療選択-肩甲骨・肋骨に着目して-.肩関節35(2) : 617-620 , 2011
今回紹介する論文は、拘縮肩の病態と治療選択を肩甲骨と肋骨の運動に着目し報告されています。拘縮肩と診断された症例のうち、特発性凍結肩、腱板断裂、糖尿病性拘縮などに対象を分け、3DCTを用いて挙上動作の動態について検討されています。
結果の中で、特発性凍結肩や腱板断裂の一部の症例、糖尿病性拘縮の症例において挙上動作に伴い肋骨が下制することを発見されています。
健常人における肋骨の動態は、挙上に伴い挙上するという報告は散見します。拘縮肩の症例において挙上が制限されるだけでなく、下制する動態にも着目して臨床に臨みたいです。
本論文で検討されていない点が、肋骨が下制した群の拘縮の程度です。想像通り重度の拘縮であるのか、軽度の拘縮でも原因があれば肋骨は下制するのかなどなど気になる点が多くあります。
また、なぜ肋骨が下制するのかも再考していきたい内容です。
肋骨の動態について本論文以降も情報がアップデートされているようですので、興味深い報告があれば報告しようと思います。
投稿者:中井亮佑