木島ら:階段降段動作における健常者とACL損傷者との比較 理学療法科学20(2):127-132 2005
前十字靭帯(以下ACL)損傷はスポーツによる膝損傷の中で占める割合が多く、およそ60%~80%に及ぶと言われています。ACL損傷の歩行分析による研究は数多く報告される中、階段昇降動作に関する研究はわずかであることに筆者らは着目しています。そこでACL損傷者の階段降段時動作における、下肢関節モーメントや関節角度の観点から損傷側の膝関節の代償が他関節で生じると仮説を立て、三次元動作分析システムと床反力計による動作分析手法を用いて計測し、検討しています。
結果はACL損傷者の階段降段時には2つのパターンがあると報告しています。この2パターンの階段降段動作から膝関節の安定性に関わる要素を推測し、治療プログラムの立案につながるのではないかと考察しています。
臨床現場において、動作観察から治療対象となる組織を推測することは問題点の解決に直結する重要な要素です。今回の文献の報告と実際の臨床における動作との比較をした上で、評価・治療につなげていければと感じました。
投稿者:服部隼人