前回に引き続き膝OAに伴う半月板やその周囲組織の構造変化について調べています。
論文をまとめると、
Purpose
MRIとT2マッピングMRIを用いてMMEと骨棘を含むOA関連変化との関連性を検討することである。
Methods
早期膝関節OA患者(n = 50)を対象とした。MRIで検出されたOA関連の変化は、MMEに加えて、Whole-Organ Magnetic Resonance Imaging Scoreに従って評価された。内側半月板と骨棘のT2値は、T2マッピング画像で測定された。末期膝関節症患者から手術で摘出した骨棘を組織学的に分析し、X線撮影とMRIで得られた所見と比較した。
Result
T2マッピングMRIで測定した骨棘距離(骨と軟骨部分の合計)は、MRIで算出したMME距離(3.3 ± 1.9 mm対3.0 ± 1.6 mm)と同様であることがわかった。
組織学的に骨棘の骨部は軟骨に覆われていることが確認された。軟骨部と骨部の合計である脛骨内側骨棘距離をT2マッピングMRIと組織学で別々に測定したところ、T2マッピングMRIで測定した骨棘距離は、軟骨部と骨部の合計である脛骨内側骨棘距離と同じであった。
膝関節内側の骨棘の有病率はラジオグラフィーで40%,MRIで48%であった。一方、T2 マッピングMRIでは、早期膝関節症患者の98%に骨棘が認められた。
脛骨内側骨棘距離(骨棘の骨部分と軟骨部分の合計)は、MMEのグレードと正の相関があった。
Conclusions
脛骨内側部骨棘が早期膝関節症患者によく認められ、MMEと密接な関係を示すこと、MMEは内側半月板変性と正の相関を示すことを明らかにし
上記の図のように、本研究により早期膝OAのMMEは骨棘幅と関連することが明らかとなりました。MMは半月脛骨靭帯で脛骨と強固に連結しているため、その解剖学的特徴が影響しているのか想像しました。骨棘やextrusionはいずれにせよそこにメカニカルストレスがかかっている結果と考えます。半月板変性、OA進行の一つの最新知見として本論文を捉えます。
投稿者:尼野将誉