J Bone Joint Surg Br. 1984 May;66(3):411-6.
腰椎椎間板ヘルニアにより障害される神経根は一般的である傍正中ヘルニアでは罹患椎間の1高位尾側であり、椎間孔外側ヘルニアでは罹患椎間の神経根が障害されるというのが教科書的に知られていると思います。つまりたとえばL4/5ヘルニアでは傍正中型ではL5神経根、 椎間孔外側ヘルニアではL4神経根が障害されるというのが一般的とされています。しかし分岐位置の変異など神経根の破格はまれでなく、その場合は神経根の位置が通常と異なるため椎間板ヘルニアにより障害される神経根も異なりえるということです。
神経根走行異常の頻度は報告によって異なりますが、0.3%から多いものでは30%にも及ぶとされています。KadishとSimmonsが1984年に報告した分類ではtype1~4に分類されており、type2aであれば通常より頭側からS1神経根が分岐しています。
conjoined nerve rootでは2根が含まれるために2根障害を呈したり、径が大きいため圧迫程度の割に強い根性疼痛を呈するとされています。
決してまれではなく軸位断のMRIを頭尾側にわたって追跡すれば神経根走行走行異常の読影は可能であると言われています。これらも念頭において画像を読影し病態を推察する必要があると述べられています。
病態解釈する上でL4/5ヘルニア傍正中型ではL5神経根、 椎間孔外側ヘルニアではL4神経根が障害されるという一般的な解釈のみでなく、神経根破格例も存在する可能性があるためそれらも念頭において評価していく必要があると思いました。
破格に対して理学療法士が何かできるわけではありません。しかし医師と共通認識をもって病態把握をし運動療法を行うことは大切なことであると思います。
腰椎疾患患者さんの理学療法を担当させていただく機会が多いですが、やはりブロックなどの情報も含めて医師がどのように病態を解釈しているのか、情報を共有し共通認識を持つことで理学療法士として何をすべきかが見えてくると思います。
投稿者:大渕篤樹