寺林伸夫他:夜間痛を伴う腱板断裂患者に対する超音波ドップラ血流評価.肩関節36(2),2012:507-510
今回の研究目的は夜間痛を有する腱板断裂患者の関節包栄養血管血流の血行動態変化をエコーのドプラー法を用いて評価することです。
対象は腱板断裂患者33例を夜間痛あり群と夜間痛なし群に分けて検討しています。対照群として肩インピンジメント症例と健常群を比較対象としています。
描出した血管は肩前方と外側を支配する前上腕回旋動脈とその上流の上腕動脈です。
これら血管をカラードップラを用いて描出し、収縮期血流速、拡張期血流速を計測し、血管抵抗値も算出しています。
その結果、前上腕回旋動脈収縮期血流速は夜間痛あり群の患側で有意に血流の上昇を認め、前上腕回旋動脈血管抵抗値は夜間痛有り群において有意に低下を認めました。上腕動脈では有意差を認めませんでした。
今回の検討結果から夜間痛有り群では前上腕回旋動脈の収縮期血流が上昇することが分かりました。このことは関節包血流の情緒を示唆しており、上腕動脈の収縮期血流は健患差を認めなかったことより、前上腕回旋動脈の収縮期血流の上昇は選択的な上昇と判断でき、夜間痛を揺する腱板断裂患者における一つの現象であることが示されたと述べています。
また、TerslevらはRAの滑膜血流の評価において滑膜炎状態では抹消での拡張期血流の増加がおき、血管抵抗値が低下したと報告しており、今回の血管抵抗値の低下は滑膜炎が疑われました。
夜間痛を有する症例おいて血流が要因となることも念頭において評価を行う必要があると感じました。血流が増加しているということは炎症所見であるため、安静指導や薬物療法など適切な治療選択をしていく必要があると思いました。
今月の定例会は2月23日です。
内容は「膝OAにおける疼痛の解釈」です。
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