この論文では、脊椎分離症の後発部位であるL5腰椎分離後にすべりが続発または悪化に関連する因子について検討されています。
結果、22人のうち13人は10年後にすべりの変化を示さなかったが、5人は5%を超える変位を示し、4人の患者が滑りの進行を示す結果となっています。
すべり量に変化がなかった13名の患者はL5の横突起の垂直方向の厚さが有意に大きく、すべりが増悪した9名は横突起の厚さが薄い(小さい)傾向にあったと報告されています。
L5横突起と腸骨の間には iliolumbar ligament.が走行しています。これらがL5腰椎を安定させているため、左右の横突起の大きさは iliolumbar ligament.の強度を示しているのではかと考察されています。
理学療法士としては、分離症後のすべり発症のリスクを把握して運動療法や動作の指導など行っていく必要があります。すべり発症の要因については椎間関節の形態(向き)や椎間板高なども影響するという報告もありますが、それらと同時に腰椎横突起の厚さも評価していく必要があると感じました。知識として頭に入れておきたいと思います。
投稿者:大渕篤樹