COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年3月20日日曜日

膝関節動揺試験における靭帯の張力について

本日は、膝関節の動揺性の張力分布に関する文献をご紹介します。





藤江裕道,他:膝関節動揺性試験膝靱帯張力布(ロボティクスを用いた計測 ) .本機械掌会論文集(C編) 61,586.347-352:1995
 

この文献では、切断した膝関節を、前方動揺と後方動揺のストレスを加えて応力計算ができる装置に固定して、0°、30°、60°、90°の各角度で50Nと100Nの動揺負荷を加えた際に各靭帯にどれだけの張力が加わっているのかを計測されています。

結果は、前方引き出しではACLは伸展位で最も張力が大きく屈曲角度が増すにつれて張力が減っていく傾向にありました。ACLを前内側部の前方と後方、後外側部の3つに分けてみた場合、前内側部の前方はあまり前方引き出しに対する張力は生じないのに対して、0°、30°では後外側部の張力が大きく、60°、90°では前内側部の後方の張力が大きくなる傾向にあったとされています。
MCLやLCLでも屈曲角度が増すにつれて張力が大きくなり、関節包は張力を生じないとのことでした。

後方引き出し時には、どの可動域においてもPCLの張力が最も高く、前外側部と前内側部に分けてみた場合、前外側部に生じる張力は30°屈曲位から急激に増加し、屈曲角度が増すにつれて張力も増大していくのに対して、後内側部は常に低値を取り続けたそうです。
MCLでは張力はあまり働かず、LCLと関節包が浅い屈曲角度で張力増大を認めたとされています。

このことから、前方引き出し、後方引き出しを行う際に屈曲角度を変化させて行うと、他の靭帯の損傷程度の評価結果への関与を考察できるとともに、ACL、PCLのどの線維が損傷していたか、他の靭帯が損傷しているかによっても、より安全にトレーニングを実施できる角度を考慮しやすくなるのではないかと感じました。


投稿者:為沢 一弘


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