本日は、遠位脛腓関節の安定性について報告された文献を紹介します。
D.J.Ogilvie-Harris et al.;Arthroscopy
10(5):558-560,1994
本文献に記載された研究は、遠位脛腓関節を2mm離開させる際に要する力を計測して、4つの靭帯(前下脛腓靭帯、後下脛腓靭帯浅層部、後下脛腓靭帯深層部、骨間靭帯)それぞれにかかる張力の割合を算出しています。腓骨遠位の外側脱臼を想定して、腓骨を外側へ引っ張る力が計測されています。
結果は前下脛腓靭帯35%、後下脛腓靭帯浅層部9%、後下脛腓靭帯深層部33%、骨間靭帯22%と、前下脛腓靭帯および後下脛腓靭帯深層部が、他の靭帯よりも外側方向の腓骨の離開ストレスに対して制御する力が大きい結果となっています。
現在、足関節脱臼骨折後にMRI上、後下脛腓靭帯の損傷が疑われる症例を担当しています。画像所見や問診、理学所見から、今後生じるかもしれない不安定性や疼痛に注意して運動療法をすすめていこうと思います。