理学療法学 24(6)2009
『ラット膝関節拘縮モデルにおける大腿部筋間脂肪織の病理組織学的変化 』
今回、紹介させて頂く文献は、軟部組織である筋間脂肪織が関節拘縮によりどのように変化するかをラットを用いて観察したものです。
長期固定や安静臥床によって引き起こされる関節拘縮は、関節構成体、筋、および関節以外の軟部組織による複合的な要因により発生していると考えられるが、それぞれの責任分担には不明な点が多い。筋性が重要であるという報告や、長期固定では関節性が主な責任部位であるという報告もあるがそれ以外の部位を調べたものはなく、この文献ではその部位について研究をしています。
結果、脂肪織が線維性結合織に変化が起こったと書かれています。このことから同部位の柔軟性、適応性の低下が起こりうることが示唆され、この変化が関節拘縮の一因となる可能性が否定できないとしています。
当院では、術後の患者様を担当することが多く、術後早期のリハビリでは拘縮をいかに作らず、患者様に元の生活に戻って頂くかを考えます。今回の文献より、筋や関節以外の部分の軟部組織である筋間の脂肪織が拘縮の一因になることが示唆されています。また、外側広筋と中間広筋の筋間が硬くなることを以前発表しましたが、このことからも筋を個別に操作したり収縮を利用することが、関節拘縮の予防になるのではないかと感じました。