Dori J,et al.:Soft Tissue Attachments of the Ulnar Coronoid Process.CLINICAL ORTHOPAEDICS AND RELATED RESEARCH no.320 1995,pp154-158
本日は、尺骨鉤状突起の骨折で使用されることの多いRegan-Morrey分類と、鉤状突起に付着する内側側副靭帯前斜走線維や前方関節包、上腕筋の付着部について述べられた文献を紹介します。
Regan-Morrey分類は、骨折した鉤状突起を骨片の高位によってタイプ別に分けた分類です。鉤状突起先端近くの骨折はタイプⅠ、鉤状突起高の50%以下の骨折はタイプⅡ、50%以上はタイプⅢとなるわけですが、Zone C(タイプⅡとⅢの間の領域)に付着部を持つ内側側副靭帯前斜走線維や前方関節包、上腕筋は、タイプⅡ骨折でこれら軟部組織の損傷が予想され、タイプⅢではそれらが付着部で損傷する可能性は低いと著者らは述べています。
現在担当している症例はタイプⅢにあてはまり、手術に際して受傷後の肘関節は、内反、外反ストレスにより大きな不安定性は認めなかったそうです。また、骨折した鉤状突起の大きな骨片については、プレート固定されたことで腕尺関節の安定性は再獲得されましたが、受傷時に肘関節は後方に大きく脱臼したことで後方関節包が損傷し、術後の可動域の獲得に難渋しています。
手術によって骨性の支持は再獲得されましたが、複雑な骨折を伴ったことから、今後も関節の不安定性に注意しながら可動域を獲得できるよう、慎重にリハビリをすすめていこうと思います。
投稿者:竹下真広