本日紹介させて頂く文献では、立位での膝関節屈曲運動がFrontal
Rotationに及ぼす影響とその変化量について報告をしています。
橋谷祐太郎他:立位での膝関節屈曲位保持課題が膝蓋骨の前額面上回旋角度変化に及ぼす影響:関西理学.14.37-41.2014
方法は体幹垂直位で膝関節屈曲0°位を開始肢位とし、屈曲0°~60°までの各10°ごとの膝蓋骨回旋角度を計測しています。計測に関してはレントゲンを用いて、大腿骨軸と膝蓋骨上端-下端を結んだ直線がなす角度を膝蓋骨回旋角度としています。
結果は、膝関節屈曲角度の増大に伴い外旋角度は増大傾向にあり、屈曲0°と比較し40°~60°で有意な増加を示したと報告しています。また、変化量は屈曲0°~10°での外旋角度の増大が最大であったと示しています。
膝関節は屈曲・伸展運動時において膝蓋大腿関節では膝蓋骨が大腿骨顆間溝上を滑走するとともに、膝蓋大腿関節の適合性を保つために前額面上で回旋運動が生じる膝関節屈曲運動に伴い、膝蓋骨は前額面上で約7°の外旋、水平面上で約11°の内旋運動を行うことが知られています。前者はFrontal Rotation、後者はCoronary Rotationと呼ばれています。
臨床の中で、徒手的に膝蓋骨運動を促す際には非荷重での操作を行うことは多々ありますが、荷重時での運動を考慮する場面は少なかったと思います。今後、膝蓋骨の運動を評価する際には、荷重時・非荷重時と条件を変えた中での膝蓋骨運動にも着目していきたいと思います。
投稿者:高橋 蔵ノ助