本日は、超音波エラストグラフィーを用いた肩関節前下方関節包の弾性について検討された論文を紹介します。
武長ら:超音波エラストグラフィーを用いた青少年野球選手の肩関節前下方関節包の定量的弾性評価.
肩関節37(3):1189-1192,2013
投球障害のメカニズムの一つとして、前下方関節包靭帯などの組織の弛緩によりインターナルインピンジメントが引き起こされ疼痛の誘因となることが知られています。また、手術所見によっても前下方関節包靭帯は弛緩を認めるとのことです。
本日紹介する文献の目的は、超音波エラストグラフィーを用いて肩関節前下方関節包の弾性を計測することです。前下方関節包は上腕骨付着部と関節包実質部に分けて計測されています。野球の競技年数、投球側か否か、肩痛の有無、ポジションにて検討されています。
結果ですが、多くの検討項目に有意差は見られないとのことでした。このことから、投球によって生じる前下方関節包の弛緩は超音波エラストグラフィーでは描出できないことがわかりました。前下方関節包の弛緩の程度は外転外旋強制などにより評価できるという報告もあることから、徒手的に評価することが重要であると思いました。
投稿者:中井亮佑