本日紹介する文献は、テニス選手における遠位橈尺関節(以下、DRUJ)の不安定性についてです。
渡邊裕之ら:女子テニス選手における遠位橈尺関節不安定性と手関節筋力との関係.臨スポ24(2):235-241,2016.
テニスにおいて手関節は肘関節や膝関節とともに高い外傷発生率であるとされています。その背景にはスピンを多用する選手が増えていることがあげられるようです。そこで、本論文はメディカルチェックの際に手関節の機能特性を調査し、DRUJの不安定性などについて検討されています。
結果の一部ですが、全身弛緩性を認めなかったにも関わらず、DRUJが不安定であった選手が多く、その中でも非利き手に有意に多かったと報告されています。
このことから、テニス競技を行うことでDRUJは不安定になることが推察され、障害につながることが考えられます。手関節に既往のある選手に関しては、DRUJの不安定性を評価し、不安定であればテーピング等でDRUJの不安定性を是正する事が重要だと思います。
また、バックハンドストロークで使用することの多い非利き手に不安定性を認めたことから、フォアハンドストロークの際の利き手に加わるメカニカルストレスとバックハンドストロークの際の非利き手に加わるメカニカルストレスは異なることが推察されます。同じような動作に感じますが詳細に動作を見ることで違いがわかるかと思いますので、競技動作分析を大切にしたいと改めて思いました。
投稿者:中井亮佑