浜田純一郎他:肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節からみた拘縮肩の病態.肩関節(33)3:809-813.2009
対象疾患は凍結肩、糖尿病性肩関節拘縮、腱板断裂に伴う拘縮、慢性肩石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮で、検討項目は以下の通りでした。
①ROM(屈曲、内旋、外旋、水平内転)
②胸鎖関節の圧痛・他動運動時痛
③肩甲骨可動性(挙上、下制、内転、外転、下方回旋、上方回旋)、
④最大挙上時の肩甲骨下角の位置
⑤下垂位、挙上時の3DCT評価(肩挙上角度、鎖骨挙上角度、肩甲棘上方回旋角度)
結果は以下の通りであったと報告されています
①ROMは疾患別で有意差を認めない
②胸鎖関節の圧痛・他動運動時痛を認めた疾患は凍結肩と糖尿病性肩関節拘縮
③肩甲骨挙上、外転で疼痛が誘発される症例が多かった
④肩甲上腕関節に拘縮を認め、肩甲骨が過活動になっていたのが凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮
⑤凍結肩と糖尿病性肩関節拘縮を比較すると凍結肩で鎖骨挙上角度が大きい、凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮で肩甲骨上方回旋が大きい
凍結型、腱板断裂に伴う拘縮肩、慢性石灰性腱炎による拘縮、外傷後肩関節拘縮の4群においては肩甲上腕関節で拘縮を認め、それを代償するために肩甲胸郭関節での可動性が大きくなると述べられています。糖尿病性肩関節拘縮においては異常コラーゲンにより軟部組織の伸張性の低下をきたし、肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節の可動性低下により肩甲胸郭関節にておいも可動性が低下したのではないかと述べられています。
評価については肩関節挙上位で3DCT撮影することで肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節の可動性を把握できると述べており、臨床に置いて簡便に評価する方法として最大挙上位での肩甲骨下角の位置を健患差比較する述べられています。
拘縮肩を治療するにあたり責任部位はどこであり、どの組織なのかを明確にすることはもちろんであり、その背景にはどのようなことがあるのかも知っておく必要があると感じました。