本日紹介は、距腿関節の接触圧力について研究された論文を紹介します。関節の理学療法を進める上で、どの動作でどこにストレスが加わるか、という知識は構造を破壊してしまわないためにもとても重要な事だと思います。距腿関節に関しても、足関節脱臼骨折や距骨の軟骨壊死などの疾患において、同様の事が言えるかと思います。
川上ら:距腿関節の3次元運動及び動的接触圧力に関する実験的研究.日本臨床バイオメカニクス学会誌 21:279−285.2000
本論文は、距腿関節は底背屈により三次元的にどのように動き、関節内の接触圧力はどのように変化するかを研究されています。
結果の一部より、底屈により関節内の接触圧力は後内側へ移動し距骨滑車の中央まで移動し、背屈により前外側へ移動しました。これにより、距骨へ加わる関節の接触圧力もわかりますが、背屈すると距骨は先に腓骨に圧力を加えることが想像できるかと思います。そのため、腓骨が不安定な骨接合術後や脛腓間が不安定な脱臼骨折などの際には、背屈位での荷重は禁忌であることが考えられます。
本研究より脛骨の下関節面と距骨滑車のストレスの加わり方は理解できましたが、mortice事態に加わるストレスは詳細に記載されていませんでした。今後、mortice全体に加わるストレスについても勉強していきたいと考えます。ストレスの加わり方や組織の強度等を理解することで、理学療法が構造の破壊に繋がらないようにしていきたいと思います。
投稿者:中井亮佑