COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2023年4月12日水曜日

【論文紹介】脛骨回旋位置決定のためのAkagi's lineについて

脛骨の回旋を画像から評価する方法は散見されますが、TKAコンポーネント設置のときなどによく用いられるAkagi's lineの原著を拝読しました。 









【背景】
人工膝関節全置換術(TKA)において、大腿骨コンポーネントの回旋アライメントは、屈曲時の大腿脛骨関節安定性だけでなく、膝蓋大腿関節の安定性にも大きく影響する。
大腿骨に比べ、脛骨コンポーネントの正しい回旋位置の信頼できる基準軸の確立には、比較的注意が払われていない。脛骨の後顆線、脛骨中腹は、脛骨関節面の回旋方向を決定するために使用することができる。しかし、骨棘の形成、脛骨の関節面の変形や骨量減少、一般的な解剖学的変化により、手術現場でこれらの基準軸を決定することが困難な場合がある。


【目的】
本研究の目的は,コンピュータ断層撮影により,脛骨の前後方向の位置を示す新たな関節外解剖学的ランドマークを同定することである。


【対象と方法】
39名のボランティア(男性20名、女性19名)を対象に、健康な右膝の伸展時のコンピュータ断層撮影を脛骨軸に垂直な方向で行った。顆間軸を脛骨高原のスキャンに投影し、PCLを後顆ノッチに認め、脛骨の前後軸をPCLの中央を通り、投影した顆間軸に直角な線として描く。このスキャンにおいて、膝蓋腱と前後軸の交点の内側1cm幅は、膝蓋腱の幅をl、交点の内側幅をmとして、m/l×100と定義される。同様に、膝蓋腱付着部において、膝蓋腱と前後軸の交点から内側に占める幅m'/l'×100を測定した。次に、脛骨付着部において、PCLの中央と膝蓋腱の内側縁を結ぶ線と前後軸のなす角度を測定した。また、前後軸とPCLの中央と膝蓋腱の内側1/3を結ぶ線との間の角度を、付着部のレベルで測定した。

【結果】
脛骨プラトーのレベルでは、定義された前後軸は膝蓋腱の内側エッジの約11%外側を通過した。膝蓋腱と前後軸の交点の内側パーセント幅の平均は、すべての被験者で10.8%±9.8%(範囲:-9.3%-+30.0%)であった。男性では12.8%±9.0%(範囲:-4.5%-+26.9%)、女性では8.8%±10.4%(範囲:-9.3%-+30.0%)だった。膝蓋腱付着部では前後軸は平均して腱の内側境界を通過していた。膝蓋腱と前後軸の交点の内側パーセント幅の平均は、すべての被験者で-0.2%±10.4%(範囲、-23.6%-+23.0%)であった。前後軸とPCLの中央を結ぶ線との平均角度は、PCL膝蓋腱付着部の内側境界線が0.0°±2.8°(範囲:-6.3°~+5.2°)であることがわかった。


【結論】
前後軸と後十字靭帯の中央と膝蓋腱付着部の内側境界を結ぶ線との間の平均角度は0.0°±2.8°(範囲:-6.3°-+5.2°)であったことから、膝蓋靭帯付着部の内側縁は、脛骨の前後軸を決定するための信頼できる前方解剖学的ランドマークとして機能し、後十字靭帯の中央と付着部の内側縁を結ぶ線は、脛骨の前後方向性を示す基準軸として有用であると考えられる。 




CT、MRIが撮像されている場合に、脛骨回旋位置決定のための一つの指標として用いたいと思います。




投稿者:尼野将誉






2023年4月8日土曜日

【論文紹介】大転子facetにおける腱付着がない部位"bald spot"について

 




【背景】
大腿骨骨幹部骨折に対するAntegrade intramedullary nailingは、骨折の安定化と治癒につながる標準的な技術である。従来は梨状筋窩から挿入する方法が用いられてきたが、最近の研究では、適切な釘と技術を用いれば、転子部からの挿入も有効であることが示されている。しかし、これらの挿入口はいずれも股関節外転筋や外旋筋の腱を穿孔して貫通させる必要があり、これらの構造に大きな損傷を与え、術後の病的状態の原因となる可能性がある。


【目的】
大腿骨近位部の腱の解剖学的な付着部を調べ、幾何学的に''bald spot''を定義することである。また、bald spotの寸法が標本の大きさによって異なるかどうかを分析した。


【対象と方法】
5つの標本から10個の新鮮な凍結されたご献体の股関節(平均年齢は74歳(66~82歳)である。標本は切断され、中殿筋、小殿筋、外旋筋の筋腹が分離された。次に、大腿骨頚部の最遠位挿入部位の股関節包を円周方向に切開し、大腿骨頭靭帯を切除し、股関節を脱臼させた。大腿骨は、腱の付着部がそのまま残り、大転子に付着した状態で保持された。

大腿骨近位部腱挿入部の複雑で不規則な形状を手動で測定するのは困難であるため、高精度のコンピュータナビゲーションシステムを使用し、表面積の決定、解剖学的ランドマークの仮想距離を算出した。中殿筋、小殿筋、梨状筋の各腱の付着部や、外側広筋の起始部をトレースした。さらに、大転子上の腱が挿入されていない部分であるbald spotも同様に算出した。また、ナビゲーテッドサーフェスボーンモーフィングを行い、各標本の仮想骨モデルを作成した。各腱の挿入部周辺とbald spotを再びナビゲートスタイラスでトレースし、生成された骨表面モデルに統合した。bald spotの正確な形態学的特徴を、いくつかの解剖学的ランドマークとの相対的な関係で決定した。すべての距離と角度は、10個の標本間で平均化した。



【結果】
大転子の外側面には腱の挿入がなく、前方および遠位には小殿筋、後方には中殿筋、近位には梨状筋腱に囲まれた禿頭を一様に発見した。この部分の形状はやや楕円形で、長軸は大腿骨軸に対して34°(範囲:17°~48°)の角度で、後上方から前内方に向かって走っている。平均表面積は354mm2(範囲:237-490mm2)、円の直径は21mm(範囲:17-25mm)であった。
前後方向から見た場合、Bald spotの中心はLateral facetにあり、転子先端から11mm遠位(範囲:7~14mm)にある。側面像では、中心は大転子の中心から5mm(範囲:0~9mm)前方にあり、転子の後上方隆起から15mm(範囲:5~26mm)前方にある。
大腿骨頭の大きさと禿頭の直径や表面積の間には相関がなかった。コンピュータで作成したモデルからナビゲーションシステムで測定した大腿骨頭の半径と実際の測定値は、1mm(標準偏差0.5mm)の差があった。このことから、使用したモデルの精度は高く、カメラシステムの解像度の限界と臨床的に許容される閾値の範囲内であることが示された。



【結論】
大転子Lateral facetに直径約21mmの楕円形の領域を確認したが、この領域は滑液包組織で覆われており、腱が挿入されていない。この中心は、大転子外側面の約11mm下方にあり、側方から見ると転子の中心から5mm前方にある。このポータルから大腿骨前方転子部髄内釘打ちを行うことで、軟部組織の損傷を最小限に抑え、術後の股関節痛や外転筋機能障害の発生率を低下させることができると考えられる。しかし、このポータルから釘を再現性よく挿入することの可能性、および現在使用されている釘を用いた場合のフープストレスと骨折軽減への影響について、さらなる検討が必要である。



bald spotは腱の付着がなく、滑液包が存在する部位であることから滑走性が必要となることが想像できます。中殿筋、小殿筋の評価において見逃さずに確認したいと思います。







投稿者:尼野将誉




2023年4月1日土曜日

【論文紹介】腰椎不安定性はどの程度で臨床症状に関与するのか?

腰椎不安定性の定義や程度の指標が不明確だったため調べています。 




【背景】
腰椎の不安定性は症状発現に関与する重要な因子と考えられているが、腰椎不安定性の定義や 診断基準については、いまだに一定の見解が得られていない。
現実的な不安定性の評価は、前後屈と側屈における機能撮影法に限られてきた。動的な不安定性因子である前後屈での椎体動揺性と椎間可動角に関しては,臨床症状との関連性はいまだ明らかでない。

【目的】
腰下肢症状のある患者において L4/5 椎間でこの 2 つの動的不安定性因子を調査し、臨床症状との関連性を検討することである。

【対象および方法】
2 年間に腰下肢症状を主訴に当科を受診し、前後屈像を含む腰椎 X 線撮影を行い、保存的加療を施行した患者1,647 例である。このうち症状や X 線計測に影響すると考えられる症例(121 例)を除外した 1,090 例 を対象とした。これらの L4/5 椎間において、前後屈像での椎体動揺度、および椎間可動角を計測した。これらの症例に対し、前後への椎体動揺度を 3 mm、椎間可動角を 10°の組み合わせで群分けし,A 群:椎体動揺度 3 mm 以上,椎間可動角 10°以上,B 群:椎体動揺度 3 mm 以上,椎間可動角 10°未満,C 群:椎体動揺度 3 mm 未満,椎間可動角 10°以上,D 群:椎体動揺度 3 mm 未満,椎間可動角 10°未満,の 4 群に分類した.
年齢差が臨床症状に影響を与えている可能性があるため、対象症例 1,090 例全体における 4群間の比較検討を調査 1 とし、年齢をマッチさせた比較を調査 2 とした。臨床症状は初診時の JOA スコアのうち日常生活動作項目と膀胱機能点数を除いた 15 点満点で評価した。さらに初診時以降の経過について電 話によるアンケート調査を行った。追跡調査時の臨床症状は JOA スコアのうち自覚症状の 9 点満点で評価した。


【結果】
4群間比較(調査 1)
初診時の JOA スコアでは,B 群が C 群,D 群 と比較し有意に点数が低く,また A 群は C 群に比 べ点数が低い傾向がみられた。腰痛では A 群が D 群 に比べて有意に点数が低く,下肢痛では A 群,B 群がそれぞれ C 群に比べて有意に低い点数であった。歩行能力では B 群が C 群,D 群と比較し有意に点数が低かった。他覚症状では,知覚にて B 群が A 群,D 群に比較し有意に 点数が低かったがSLR(下肢伸展挙上テスト)および筋力では有意差は認めなかった。


調査 2
初診時の JOA スコアでは,A 群と B 群は D 群 と比較して有意に点数が低かった。項目別にみると、下肢痛で A 群が C 群,D 群に比べて有意に低い点数であった。しかし,腰痛と歩行能 力では差はなかった。他覚症状では、知覚において B 群が A 群,D 群に比較し,有意に点数が低かった。調査時の JOA スコアでは,A 群が B 群と D 群に比べて有意に点数が低かった。項目別で は,腰痛で A 群が D 群に比べて有意に点数が低く,下肢痛では A 群が他の 3 群に比べて有意に点 数が低かった。また初診時以降の症状の出現頻度も A 群が他の 3 群に比べて有意に多かった。


椎体動揺度と椎間可動角における 2群間比較 
椎体動揺度が 3 mm 以上と 3 mm 未満の 2 群間 の比較では,3 mm 以上の椎体動揺度を有する症 例は 172 例(15.8%)であった。平均年齢は 3 mm 以上が 47.7±19.3 歳,3 mm 未満では 47.3±17.7 歳で,年齢に有意差は認められなかった.臨床症状の比較では,初診時 JOA スコアと自覚症状の3項目すべてにおいて,3 mm 以上の群 で有意に点数が低かった。椎間可動角が 10°以上と 10°未満の比較では,10°以上が 155 例(14.2%)で 平均年齢が 39.9±19.1 歳,10°未満が51.6±16.4 歳で,10°以上の症例が有意 に年齢が若かった。臨床症 状の比較ではすべての検討において有意差はみられなかった。また椎体動揺度と椎間可動角とは弱い順相関を示した。


【結論】
椎間可動角が 10°以上の症例は,10°未満と比べて有意に年齢が若く,若年者では椎間可動性 が大きかった。
前後方向への 3 mm 以上の椎体動揺度と 10°以上の椎間可動角は,ともに臨床症状に影響 を与える因子であった。
3 mm 以上の椎体動揺度は単独で症状に影 響を与える因子であり,10°以上の椎間可動角は単独では影響しないが,椎体動揺性に合併した場合に症状を増強,持続させる因子であると考えら れた。


X線学的評価から臨床症状を予測するためのある程度の指標を学びました。X線学的評価と理学所見で病巣の高位診断を行っていきます。




投稿者:尼野将誉














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